研究ノート9|解釈が固定されるとき、何が起きているのか
納得したはずの言葉が、いつの間にか自分を縛ってしまう理由。
目次
はじめに|「分かったはずなのに、苦しい」
以前は納得できたはずの説明や言葉が、時間が経つにつれて、なぜか重たく感じられる。
「もう理解したはずなのに」
「答えは出ているはずなのに」
それでも、同じ場所で立ち止まってしまう。
このとき、多くの人は自分の考え方が弱いのではないかと感じてしまいます。
解釈は、安心と引き換えに生まれる
解釈が生まれるきっかけは、多くの場合「不安」や「混乱」です。
どう考えていいか分からないとき、人はまず、
これでいい、と思える説明を求める
その瞬間、ひとつの解釈が安心をもたらす形で立ち上がります。
例|親の立場で起きやすい解釈の固定
たとえば、子どもの行動に悩んでいる親御さんが、こんな言葉に出会ったとします。
「お母さんが頑張りすぎているのかもしれませんね」
この言葉は、決して悪意ではありません。一度は、納得できたかもしれません。
けれど時間が経つと、その解釈がこんな形に変わることがあります。
「やっぱり私の関わり方が悪いんだ」
ここで解釈は、可能性のひとつから、唯一の前提へと変わってしまいます。
解釈が固定されると、問いが消える
解釈が固定されると、いくつかの変化が起きます。
- ・別の見方を考えなくなる
- ・状況の変化に気づきにくくなる
- ・「もう答えは出ている」と感じる
その結果、問いを立てる余地が失われていきます。
解釈は、事実ではなく「仮置き」だったはず
本来、解釈は状況を理解するための仮の足場です。
ところが安心を優先するあまり、その仮置きが、
動かせない前提
に変わってしまうことがあります。
共感翻訳が解釈を固定しない理由
共感翻訳では、ひとつの解釈に結論づけることを避けます。
それは、
解釈が固まるほど、その人の選択肢が狭くなる
ことを知っているからです。
共感翻訳が大切にしているのは、
- ・解釈を複数並べること
- ・今の状態に合う見方を選べること
- ・状況に応じて書き換えられること
おわりに|固定された解釈は、悪者ではない
解釈が固定されるのは、弱さの証明ではありません。
それは、
何とか理解しようとした、過去の自分の努力の痕跡
でもあります。
次の研究ノートでは、この固定された解釈をどうすれば、やわらかくほどけるのかを扱っていきます。
© Kotone共感翻訳研究所

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